正気の沙汰/ただのみきや
と容器の軋轢が ひび割れた声で沈黙している
握りつぶされる小鳥の震え
握りつぶす手の震え
それは一つの悪夢のように
決壊した過去から溢れ氾濫する
あの日一緒に燃やした花束の
色素が移った骨の欠片
かわいいねこんなになってもかわいいね
微笑みながら泣きながら
だが霙と嵐のこんな夜は
目をとめる全てのものが陰鬱だ
扉を叩くおれがいる
それを無視するおれがいる
瞳は渇いたまま空を切り
切って切って切りまくる
壊疽した果実にカミソリめいた
正気で笑って狂って切って
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