無造作に引かれた空の線。/元親 ミッド
 


数条の電線が、ただ黒々としていて

それは、力強いピアノ線のように

ピンと張りがあって固かった。





人も車も、その電線の下や間を

忙しそうに、慌ただしく

せかせかと行き来している。

僕は、その雑踏の中

ただ立ち尽くしてしまっていて

まるで星の輝きが

何万光年とかけてたどり着いたかのように

永い、永い時間を刻んでいた。





僕らの見上げる空には

いつでも、どこに行ったって

キミの記憶がそこかしこにあって

そうしてそれは

離れてしまった、僕のココロと意識とを

時々、引き離すのだった。





それをなんとか、

なんとかつなぎとめたのは

いつもキャメルの煙だった。
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