無造作に引かれた空の線。/元親 ミッド
僕らの見上げる空には
いつでも、どこに行っても
電線がはりめぐらされていて
そうしてそれは
離れてしまった、僕とキミとを
いまもどこかでつないでいる
そんな気がした。
焼けた鉄の冷めるがごとく
急速に色あせていく夕暮れ時には
キミを思って天を仰いで
そうして、いくつか瞬きだした弱い星の光を
電線と電線と、ビルの谷間にみつけるんだ。
星の輝きは、何万光年も
ずっと遠い過去からやってきた。
その気の遠くなるような
悠久なる時間をもって
僕らの命
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