『共喰い』/
あおい満月
喰らってしまいたい
もっと、もっと、
喰らいつけ、
暗闇の感触のなかで
ぼくは彼女に言う
彼女の脳は
誰とどこで何をしているのかさえ解らなくなるほど
血まみれの恍惚に溺れているだろう
ぼくは喰われることに微かな勝利を覚えながら
朧月を追いかける
朝、
散乱した部屋と
血にまみれたシーツに生臭を心地よく感じながら
無傷な一日を始める
二〇一二年六月七日(木)
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