秋の便り/月乃助
 
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長らくご無沙汰しております


 要に結ばれた 松の葉が
 はらはらと舞っていたりするものですから

この世で添い遂げられなかった二人の 死骸の群れのように思え
いたたまれずに 出かける気になったようです

 宿世の縁などと

 人であることを忘れたいときはきまって

やってくるそこは、田んぼの畦の交差する田舎道

場違いの 電話ボックスがぽつねんと 立っています

 収穫を終えた田には、
 刈り入れの跡が整然と 冬を待つ列を成し

ただ一方は、休耕地のコスモスの花畑
陽の光をむさぼっていたりします

 私もまた 電話ボックスによりかかり
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