未来の語り部/木の若芽
 
をつき抜けてさしている
木の上と同じようにわたしの上に
詩も時間も愛も
月と月の向こうからやって来る

びりびりと凍てた空気が風になり
人に向かって吹く
体は寒さに負けまいと
肺も心臓も肌も鼻も骨も
全力で働きを強める
火になれ 髪
火の玉になれ 眼
火の川になれ 血
凍てた空気をあたためて走ろう
赤い花にさわれ
ほのかなぬくもりを互いに増そう
凍てた空気が風になる時
人に火がつく
語り部の心技はそこに



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