黄色い言葉/殿岡秀秋
熱せられてどろどろになった
黄色い言葉を型にいれる
冷えてプリンのように固まったのを
皿の上にもる
黄色い言葉は
テーブルの上の静物画だ
触れると聴いたことのある歌声
この中にきみがいるかもしれない
唇をよせて囁くと
壁が開き
ぼくは小さくなって
奥に導かれる
どこまでも続くとおもわれた
黄色い壁と通路を
抜けると
明るい中庭にでる
噴水の前にきみがいる
水の中からでてきたばかりで
髪と足と翼が
洗いたての葡萄のように光っている
花壇の花は菓子でできている
明るい色を選んできみにわたす
噛んだり舐めたりして
たがいの気持ちを確かめる
きみは言葉で編んだ
ぼくの黄色いガウンにさわる
きみの問いかけに何でも答えるために
幾日もかけて織ったものだ
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