部屋のなかは遠くて明るい/由比良 倖
めてあげられるのに。みんな、ね、直径七センチくらいの、パイプの穴みたいなの、にすいすい入っていって、出てきてとても楽しそう。ここに、その残響音が聞こえてきて、足もとはべたべたしている。暗い。いつの間にかトンネルの中にいて、僕は僕の足に付いていっただけなのに。座ろうか。とりあえず座ろう。眠ったら死ねるなら眠ろう。死んだら眠れるのなら死ぬために眠ろう。でも眠るようには死ねないから僕は立ってる。どこかでどこかが死んでる。
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「ひょっとしたらあんたってさ…」
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まあ別に気にすることもないです。僕ひとりのことですし。紙きれ一枚でいいです。別に裏まで見てくれとはいいません。太陽ってね、こう
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