どこかの友へ/たまごボーロ
これでもかと前向きな音楽が、テレビから流れてくる。
未来に向かって、希望を持ってと、
どうか、他をあたってくれないか。
そんなに一生懸命愛について語られても、
息が詰まって死んでしまう。
暗い部屋にライトのスイッチを自分で付け、しばらく立ち尽くす。
物事を深く考えてしまてば、
きっと、世間一般の言う希望ってやつを無くすだろう。
昔のように自分の名前を呼んでくれる人達は、
この街には一人もいない。
嗚呼、それでも今日はめぐってる。
明日も必ずやってくる。
なぁ、独り身で歩くには、ちとデカい街だよ。
人は溢れるほどいるのに、誰一人とて孤独な街なんだ。
お前さんも、この街によく似たどこかを歩きなすってるんだろう?
孤影は遠くへ。
街のネオンはこんな近くへ。
今日も、ファンヒーターのスイッチを押した。
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