黒田三郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
、僅かばかりの詩を書き、僅かばかりの部数の詩集を出しているかもしれないのだ。それが、無意味だと考えるわけにはゆかない。マス・コミュニケイションの絶大な力が云々される。だが、一方では、そうであればあるほど、一方的な他人の言葉をきくだけでなく、自分のことばをもちたいという素朴な願いがひとびとの胸に芽生えつつあるのではないか。数多くのサークル、お母さん達や農村青年や女工さん達や……そして多くの詩や綴方の雑誌はそのことを語っているように思われる。(「詩人とことば」より)

 黒田は、詩が、マスコミでの伝達によって社会に広く拡散されていくことよりも、「自分のことば」として社会の局部においてかけがえのない
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