黒田三郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
に関心を持った詩人であります。ですが、他者と関係するにあたって、黒田は他者の内側の正当性をきちんと認めていたのではないでしょうか。あるいは、他者の内側の正当性を理解していたからこそ、それほど人間に関心が持てたのではないでしょうか。そして、自分が他者へ注ぐ視線が、外側からの懐疑の視線にとどまることを避け、他者の内側からの視線と切り合うものになっていることの自覚があったのではないでしょうか。黒田における人間への関心とは、それぞれの他者の内側からの声にやさしく耳を傾けることであったのではないでしょうか。

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