お茶を薄める/ヨルノテガム
 
き 卵が先か女性が先かを考えながら風景のなかに転がり落ちてきていた 風のなかに引力の話を聞いた 地平線になびく髪の進路へ記憶はバックボーンバックボーンと季節を移す 燃え上がる花の人たちが境目のない百年の曲がり角や大木の木陰、建物の眠りを醒まさないで通り過ぎる 彼は寿司折の空箱を何かに使えへんかなぁと思って、けど毎度捨てる 彼は夜の牛に喰われる夢を見た その牛は骨を売って旅して歩く 暗闇をゆくぼんやり白いぼんやり遠くなるそれに食む食むと飲まれている 壁画のように眠る記憶の中で 彼は何人もの彼の伝記に聞き入っている それぞれのカバン色した顔は全く鮮明にはわからないが 喉が渇いて アレ飲みたいなと思うが長くミイラ我慢しつづけている

 黄金仮面は幾重もの満月の輝きを甦らせる






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