『逆流』/
あおい満月
破片が
あたしの指を刺した
みるみるあふれる赤い花で
赤く色をつける
何色にもまじわらない血が
虚しさの余韻となって風に凪ぐ
**
風の少し冷たい
秋空の下で
壊れたオブジェに
ライターで火をつける
燃え上がる壊れた時間が
宙を舞っていく
けれど、
逆流した過去は消えない
あたしは燃えた灰を抱いて
歩いていくのだ
硝子で傷をつけた
指の痛みを堪えながら
二〇一二年十月二六日(金)
戻る
編
削
Point
(5)