小さなことからコツコツと/ただのみきや
 
ラジオで誰かが言っていた
「小さなことからコツコツと」を
「小さな琴から骨骨と」なんて変換していた翌日
ご近所でお骨発見のニュース

家族すら知らないうちに家の中で骨になるのなら
たぶん友達もいなかったことだろう
なんと悲しい孤独な死に様か

だが白骨はカラッとして恨みがましくもなく
どこか穏やかだ
見つけた方は驚くが
当の本人は嫌な顔一つせずに静かなものだ

孤独も死も悲しみも
すべては過ぎ去ったこと

残った家族は取り調べられて
あれこれ非難もされるだろう
近所には気味悪く思う者もいれば
お化けが出るとか子供の噂が流れるだろう

そんなことなどまるで意にも介さず
躍動的静止 時の結晶
枯山水の一部のように
骨は静かに語りかける

「あれこれ悩むのはやめなさい
 やがてはみんな同じになる
 なあに ちょっとの辛抱さ」 





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