小さなことからコツコツと/ただのみきや
ラジオで誰かが言っていた
「小さなことからコツコツと」を
「小さな琴から骨骨と」なんて変換していた翌日
ご近所でお骨発見のニュース
家族すら知らないうちに家の中で骨になるのなら
たぶん友達もいなかったことだろう
なんと悲しい孤独な死に様か
だが白骨はカラッとして恨みがましくもなく
どこか穏やかだ
見つけた方は驚くが
当の本人は嫌な顔一つせずに静かなものだ
孤独も死も悲しみも
すべては過ぎ去ったこと
残った家族は取り調べられて
あれこれ非難もされるだろう
近所には気味悪く思う者もいれば
お化けが出るとか子供の噂が流れるだろう
そんなことなどまるで意にも介さず
躍動的静止 時の結晶
枯山水の一部のように
骨は静かに語りかける
「あれこれ悩むのはやめなさい
やがてはみんな同じになる
なあに ちょっとの辛抱さ」
戻る 編 削 Point(21)