不思議ちゃん無双/しもつき七
 
たうつ実験台。刃を宛てるとぎりぎりまで血のつま
っているのがわかる。満月みたいね。このまま力を込めてやったら、
とろとろ液体をこぼすはず。そのときこそわたしは強い愛で。



これは器官、光をめざす器官。わかりますか?



黒板消しをたたきながら先生、なにもみえないよ。窓。肥満児の行
進は信号を無視して、横断歩道を通過していった。夢とは? つま
り、未来とは? 問われていよいよわからなくなる。包丁を握りし
めたままわたしは制服のカッターシャツが血色に染まっていくのを、
明るい気持ちで待っていた。



甘い臭い。焼き直しの未来。


頭の悪さがなによりの、愛で、わたしの武器でした。さよなら。


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