フラスコ/霜天
フラスコの底
丸底の
光がたまって
揺らいでいること
誰も覚えていないから
朝焼けの色にも出会えない
そんな窓際の
暖められている
アルコールランプの触れる
沸騰直前の光が
ぼこっと、突然に飛び出すけれど
誰も驚かない
騒ぎは静まって
フラスコの、底
また、いつも通りの朝がくる
窓際が自転して
今日は違う角度だ
フラスコは傾かずに
光を蓄えて、呼吸する
昨日よりも綺麗な側面を
どれだけの人が気付けるだろう
くるり、と回る
どこかに光が集まって
どこかに夜のような影がくる
フラスコ、窓際の
磨かれるのを待っている
光を、吐き出す
フラスコの底、波立つこともなく
また、いつも通りの夜がくる
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