そして蛾は生まれ/すみたに
け
滲みだしていく
流れ
――そこへ
一機の黒い飛行機が横切る
ああ、
腹が痛すぎる
ふたつの雲は
共謀する
巨大な力に圧迫され
変形し形作られていく
ああ、
腹が痛すぎる
身体をよじらせるほど
冷や汗もたらたらで、
だから
私はまた眠ることにしようと思った
と、丁度太陽が隠れた
そしてなにものかが窓を叩いた
眠るんだから静かにしてくれよ
わたしは無視した、が
ひびは、止めどなく
漏れ出した
そして蛾は生まれ
真っ赤な鱗粉が無尽蔵に窓を叩き
地表、
そして街を覆った
けざやかな音が鋭角に飛翔するなか
耳を塞いだところで
わたしは決して
眠れなどしなかった
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