ただの回想/HAL
て日本中が浮かれ踊った翌年の《大阪万博》
でもただの回想に過ぎないけれど
敵と味方がはっきりしていた時代
聖書のルカによる福音書 6章27節から38節の
《汝の敵を愛せよ》は何に於いても敵がいなくなると
味方側が確実に腐敗していくのを指し示すことだけれど
セクト間どうしではじまった近親憎悪の残虐な殺し合いは
まさに敵が見つからなくなっての結末だったと
ただ いまは想うんだ
ぼくらの頃のように《世界同時革命》などは
嗤えるほどに間違った幻想であったのは認めるけれど
いまのぬる湯に漬かっている若者たちは
いつか愚かではあるけれどもぼくらのような回想を
想い起こすことはあるのだろうかと
例え不正解でも愚かであってもノスタルジアを覚えないことは幸福だろうかとも
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