午後は秘密/カマキリ
 

ソファのない部屋にいる

立体をこじ開けて時間を差し込んだ戦車が通る

石蹴りに夢中で影を置いてきてしまった

からんころんと遮断機の警報が鳴って

舌の長い子供たちが低いビルに手を伸ばす

それぞれたまごをあたためている

紅葉の塔になった残骸の、空洞の中で囁いている

体温は冷たい鉄に逃げていって

笑顔のやつから錆びてしまう

綺麗な傘をくれ

もっと綺麗なものをください

このキャタピラは

とげとげしくて君に似合っている
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