寒風にさらされて春を待つ/石田とわ
白い朝が冬の到来を告げた
水やりに素足でベランダに立てば
コンクリートの冷たさが
足の裏からはい上がり
からだのぬくもりをしらしめる
ベランダにつくった小さな庭
たくさんの命の息づくところ
この寒空で緑の勢いがあるはずもなく
そうかといってうなだれもせず
あるがままにそよいでいる
枯れることも萎れることも
宿命だと言わんばかりに
わたしはもがく
生きるがために
寒風にさらされて
凍えるからだ抱きしめれば
会いたいと
こぼれる涙に
凍る素足が温まる
あの人とこの草花のように
ともに枯れるまで
生きる
冬よ、寒さよ、北風よ
たったひとつを
奪いとらないでくれ
春を待ってもいいですか
戻る 編 削 Point(6)