A夢/和田カマリ
 
暖かく薄い曇天の日に
蜃気楼を見るために街に来ました
すると空に田舎の友達が現われた
攻撃されるかもしれないので
お寺の境内に逃げ込むと
色取り取りの風車が
千切れんばかりに回っていました
そこには水子で死んだ
私のお姉さんも眠っているのです
どのお地蔵さんが
私のお姉さんなのでしょうか
美しい顔をしていたと
母さんが言っていたので
すぐに探し出す自信があったのですが

白黒の映画の色は紫で暗い赤
色嵩がさらに高くなって行きます
誰が毒々しいこのスクリーンの上で
打ち負かされたと言うのですか
先頭の列車のシーンだけが
ヘビのような私の記憶に
鮮明に正確に印刷されていました

生まれる人の分だけ
蜃気楼を見ることが出来ます
美しいドラゴンの呼吸に覆われた

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