ペイター「ルネサンス」 (3)/藤原 実
T.S.エリオットは「アーノルドとペイター」という評論のなかでペイターの『享楽主義者メイリア
ス』について、
「その内容は古典学教授の学識や感じやすい観光客のイタリー印象や礼拝式に対する長い愛
着の心などをごっちゃにまぜたものである」(『文芸批評論』矢本貞幹訳/岩波文庫)
と低い評価しか与えていない。たしかにペイターの作品は多様な引用によって成り立っていて、ご
ちゃまぜではある。しかし、エリオット自身の作品も引用の集積であるという意味ではペイターと
同じなのだ。ただエリオットの場合は「伝統」とか「歴史的意識」などのコトバによってじぶんの
方法に「重み」を
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