手錠とその因果/MOJO
 
は奇妙な連帯感が生じ、和やかな空気が流れ始めた。
 裁判はC署での取り調べよりも更に手短に済んだ。相違ありませんと答え、署名し拇印を押した。幾らか利子がついた反則金を納め、私は釈放された。

 さて、私がお縄を頂戴したことと、公衆の面前で罵倒された警官Hの屈辱感との間には、因果関係はあったのだろうか。
 いずれにしても、私はいまでも酒に酔った帰り道にあの交番を覗きこむことがあるのだが、警官Hは決して私と目を合わそうとはしないのである。

            
                           〈了〉


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