早朝より/たまごボーロ
空はまだ薄暗く、街はまだ起きていない。
風は身体の熱を根こそぎ奪い去っていき、知らん振りしながらどこかへ流れていく。
ポケットに入れておいた、カイロの役割を持った缶コーヒーは熱を失いかけていた。
冷える身体で、足踏みをしながら日がでるのを待つ。
うっすらと雲がオレンジ色に染まっていき、日の出が近い事を教えてくれる。
街は少しずつ、まるで歯車が動き出したように動き出す。
車の駆動音が徐々に大きくなっていく。
縮こまっていた鳥たちも、活動し始めたようだ。
今まで静かだった世界が賑やかになっていく。まるで、遠くからパレードが来るみたいに。
雲は朱色のグラデーションで空を彩り、
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