かたちのないもの/AquArium
射し込む光に
身体を向けて
同じタイミングで
息を吸う、
ただそれだけの
仕草がやさしい
また目を瞑る
絡めていたのは指ではなくて
互いの古傷だったと思う
知らなくていいことを
そのままにして
確かな温度を上書きしていく、
覚悟
僕にはあるから
夜が運んでくる
頬を撫でる冷たい風も
一瞬で真っ白な朝が
新しい温度で包んでくれる
このまま、
じゃだめでしょうか
首すじにかかる
熱い息の湿っぽさや
鼓膜の奥で鳴る
心臓の音
速度は、
きみの方が速い
歪んでくる
表情を少し切りとって
目の奥に焼きつけていく
いつだって
きみを感
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