薄紅いに染まりし夕暮れ/
石田とわ
サンダルを履いた踵は
うっすらと紅く
右手のビニール袋からは
ネギの緑がとびだしている
歩くたびにガサゴソと
にぎやかなさびしげな
音をたて
その後ろ姿は
夏の夕暮れそのものだった
小路に咲く野の花を
手折っては
ぶらぶら歩く姿は
遊び呆けて家に帰りそびれた
子供のようで
髪の短いうなじは日に焼けて
夏草のようだった
夕暮れが終わるころ
ようやく振り返り
手折った花を要らぬげに
くれたものだ
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