それもまた/
ただのみきや
秋の海が荒々しく呼吸する
うねる波 遠く水平線の少し上に
厚く濃く垂れこめた雲また雲
ただ一人歩く砂浜は
自らの心象を行くよう
波に打ちあげられた貝殻や
流木のような言葉を拾いあげては
また 投げて
自問自答を繰り返す
それもまた詩
風に抱擁される午後
ふり返ると足跡が孤独な旅人となる
誰かの心に足跡をつけながら
遠く小さくなってゆく影
やがて
波と風に削られながら消えてゆく
それもまた詩人
一羽のかもめ
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