同時多発ツイート連詩【おいしい水を】 こひもともひこ・リミックス/こひもともひこ
 
から零れる水、そして狭い金魚鉢から見つめるガラス越しの黄昏。
はじめは小さな腫れだったものが、次第に蜜柑くらいの腫瘍になり、それは妻の一部になってしまった。
「それ」に耳をあてると遠く湧き出る水の音がして、針で突くと澄んだ雫が静かに流れだす。
「それ」は何処か遠い水脈と繋がっているのか、
僕らはよく魚の夢を見る。
ビルの壁を横切る鳥影に
水の流れを思う
遠ざかっていた憧れが
また戻ってくる
いいえ
探していたものは
すでに植えつけられていたのだ
この
一杯の水甘い水が欲しいのにまだ早いと通せんぼうをされた秋。
修行は十分重ねたはずなのに届いたのは苦い水
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