同時多発ツイート連詩【おいしい水を】 こひもともひこ・リミックス/こひもともひこ
しもいまも麓のひとびとに水をおくっている。
ヤスシが下駄を履かせるくらい低い山だが、ここはアジール。
生も死も水も緑もある。
欠けた縁、ひび割れた底。
壊れた椀を支える掌に、なお落ちてくるもの。
果たされなかった約束、伝えきれなかったことば。
そのひとの無念を受けとめる朝の細い喉。
薬を飲み下すようにこの思いも一緒に飲み込んだ。
発祥を求めた愛の残照に、
想いを留めた雫が時の記憶を綻ばさせる。
ルーティーンの夢が溜まりに溢れ、毀れる水になる。
いのちが祈りに転写され、
森奧の繋がる大河に最初の淡い飛沫になった。
こぼれた関係が、しじまを透明にこだましていた。
ふたしかな
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