同時多発ツイート連詩【おいしい水を】 こひもともひこ・リミックス/こひもともひこ
、故郷の川に戻ってきた鮭だ。
かつて、稚魚の鮭は川と海のまじわる汽水で躰を海水に馴らしたろう。淡水で育った稚魚の肉は白い。いま紅い肉に鍛えあげ、再び汽水をくぐり生まれた川をめざした鮭。
自分の水を知っているのだ。
そこで果てる。
光も音も失った彼女が触れたもの。
冷たい飛沫、
衝撃と共に切り開かれる世界。
呻くように、
絞り出すように。
その手に
「言葉」
を取り戻した時、
時計は再び回り出す。
みず、
きりさいて。
したたりがちしぶきをちかづけて、
だからほとばしりが、
うみにとける?
すするように、
おいかけたい。
いつかのちしおがうずまいていた、
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