駆けだしのセーラーソルジャー/否々
れがフられたんだってことに気づいたのは、その子が剣道着のまま雨の中を逆走していったからだった。悲しくて泣いてるんじゃなくて、女の子としての武器が欲しくて泣いてたところが、液体水素の入ったドラム缶が並ぶ立体駐車場だったから、むくんだ足で蹴っ飛ばした。爆発したら私も混ざって浮くのかな。浮遊する女の子って結構ニュータイプじゃない?きっとローファーは足枷なんだ。先輩が褒めてくれたやつだし。好きだった広い背中。ロングヘアが好きだと言ったのを思いだして、悔しくなって高く結うことだってできるくらいには立ち直ってる。大丈夫、たたかえ反逆のセーラー服!ニュータイプの私はおみくじを引いて、「吉、田園都市線に縁があり」を道しるべにまんまとホームで待っている。その目は鈴みたいだと言われたんだ。ビーム出ないっぽいから、武器にはならないけれど、音くらいはなるかもよ。私、女の子成分入ってますって。
いつか聞かせてあげる。そしてそっと投げるんだ。パンプキンパイにむきだしの愛をこめて。
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