私はヘルメスの鳥。私は自らの羽を喰らい、飼い慣らされる。/木屋 亞万
 
りには邪魔なだけ

目が充血し視界が滲むことがある
熱を持ち涙が浮かび瞼を閉じるたび異物感に覆われる
眠ることを欲している
牛の飼い主から逃げ続け
死を呼ぶ菌と病を拒み
月のように張り付く死を恐れる
嘘で包囲された夜の闇が私を飛べなくする
羽根が足りない
身体が重すぎる
スカスカの骨に冷気が入り込んでは軋む

ヘルメスの杖に寄り添う
焚き木と彼のわき腹が温かい
飼いならされることもまた
私をさらに飛べなくさせる

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