緑の丘を越えて/梅昆布茶
 
僕らはやって来た
山脈を望む高台で自身の未来を仰ぐべく
正中する太陽の指し示す影を追って

南の肥沃な低地には生命の修羅があって
過剰な欲望が溢れていた

充足の幻影が従属であること
薔薇の庭園はいつか死滅すること
言葉は何も伝えないことに想いを馳せて

敢えて北を選んだ

そこには正当な死があり
それに反照される生もあることを
望んでいた

絶望は選択ではなくただ自分の流れを
放棄することにあるのだと信じていた

等高線で塗り分けられた世界は今何を求めて
静まった夜に発光し続けているのか

アクターばかりが演者ではない舞台は
たやすく他意の無い悪意
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