さよならの世界/川上凌
世界が終わるその日には
いつもどおりの朝が来た
世界が終わるその日には
ありきたりな言葉だけど さよなら としたためた
世界が終わるその日には
ニュースだってコメディだって いたって普通に やっていた
世界が終わるその日には
もうすぐさよならする世界が 愛おしかった
大事なことはいつだって
抱きしめれる近さに在った
世界を終わらすその日には
まるでこの地平線に沿ったようなこの街が
びん底眼鏡をしたときみたいに
或いは 悪酔いしたときみたいに
小さく歪んで いまなら 掴める気がした
決めたはずなのに
情けなく
よわっちく
足が震えた
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