山本太郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
歴史は、唯一のこの現実しか書けないのに対して、詩は言語の可能性を利用して、単語の組み合わせによって唯一のこの現実以外の事柄も書けるわけです。そして、神という存在が、この世界だけでなく、他のあらゆる世界をも治めているとすれば、言語によって自由に生み出される世界は、この世界を超えることで、より神の認識に近づいていけるとも言えます。

 何故、小説を選ばなかったか。俺にとって人間主題のドラマは不必要だったからだ。神との間になされる対話だけがドラマのように思えたのだ。その対話はそして意味に偏っているはずはないのだ。(「詩論序説」より)

 ここで言われている「意味」とは、現実の対象との対応関係によ
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