山本太郎詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
存在に対して問いを開いていくと同時に、あらゆる存在に問いかけの身振りで接し、さらには問いへの答えを予想し、それに対してあらかじめ反応する、そういうことをしています。詩は決して、個人の私秘的で一方的な内面の吐露ではない。特に山本の詩には常に相手がいて、その相手との問いというコミュニケーションを図っているのです。




讃美歌


神 イエスを
靴べらにして
われを履き給いしかば
われ驚き怪しみて
いばらの道を駈け
ボロボロの駝鳥
のごとくなれり

ああ神
わが あらがいの舌を
ほろぼし
われを用い
ぬぎすて給わず
われら歩き歩きて
いくその時を経んとす
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