さまざまな世界を/木の若芽
 
学校を終えた小学生たちが
いつもよりさらに解放感いっぱいの声で
呼びかわし叫びあって
すきとおった空気に
ほんとうによくひびく

びゅうびゅうと風の音
空は青々と広がっているのに
わたしはため息をついてしまう
まぶしいほどびゅうびゅうと風の音

風の音ばかり
おひさまも花も森も明るくやわらかなのに
風ばかりなぜ荒ぶるのだ
強い風に酔ってしまったのか
なんでこうもふらふらするのだろう

びょうびょうと草が風になびき
なびきなぶられ伏して
びょうびょうと風はやまない
明日になれば草たちはまた立つ
その力の秘密はいったい何
 
風の音がたえず聞こえる家
ここに住んでいると
なるようになるものがなんなのか
わからないけど
なるようになっていくんだなあと
四角い窓から空へふぃっと出てゆく

秋は深まってゆく
宵の群青の空も
無限、永遠にゆうゆうつらなっていると
思いかえさせるように深まっている

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