ひびき めぐり/木立 悟
 




空の閉幕
地の罵声
ひと足ごとに遠のくひかり
在る風景と無い風景を
それとは知らず 行き来する水


岩が樹を喰い
樹が岩を喰い
涸れ川に落ちる
ぶらんこの街


夜が洗う曇
灰の息つぎ
合い間の径
合い間の星
島の土を踏み


白い踊りを止められず
昼も午後も離れられず
暗がりの奥
うたの渇きをのぞきこむ


夜の舌先
まわす歯車
水底の水
まわす歯車


親指と小指で月つかみ
火の矢の前に離すとき
外の水 また外の水
燃え散るすべてが青空の音


ひとつのうたが火に隠れ
まばゆいものが径を流れる
砂のなかから冠をひろう手
雷雲は幾重にもすぎてゆく


ほどく仕草でからまる寝息
突然の雨 突然の沈黙
変わらぬ夜の片目と弦が
朝の袖口を見据えている



























戻る   Point(2)