「蕎麦っ食い」/山人
のがっぷり四つ感が、最後まで戦いを続けさせ、残った屑のような麺を箸で丁寧にこそぎ、口へ促すのである。
この壮絶なバトルが終わったあとの清々しさは、まさにスポーツマンシップであり、出された蕎麦と私との間に友情が生まれるのだ。
その戦いを振り返る如くの所作が、湯桶に入った蕎麦湯を飲むことである。
相手の力量を賛辞するべく汁の味をも確かめ、そして麺から溶け出したエキスの蕎麦湯を楽しむのである。
暖簾を出て腹を叩く。
あらためていい戦いだった・・・と、しみじみ蕎麦バトルを振り返るのである。
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