アソコ伝 12章/花形新次
タマンキと弟子たちは
聖都ジュックシーンの南にある
水都カナリヴァのはずれの
荒んだ町カワサッキに赴き
売春宿のおんなたちひとりひとりの
手を取り優しくこう説かれた
「貴女は汚れてはいるが完全ではない
完全でないものは他のどんなものにだって変わることができる」
おんなたちはその声が確かに救世主コチンボから発せられるのを聞くと
地面にひれ伏し泣き始めた
弟子たちは口々に「我らがジャーパの王はすべてをお救いくださる」と叫んで
おんなを連れて宿に入っていった
残されたタマンキは「そういうことではない」と呟かれ
売春宿をエピリンポの炎で焼きつくしてしまわれた
その焼け跡には金色の葉をつける松林ができた
ここに予言者佐々木義男の予言は達成された
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