食うか食われるか/
朧月
道の駅で白菜を買う
むいた白菜から虫がでてきた
さすがに新鮮なのはちがうねと
そうおもわなかったのは私のだめなところ
水に浮かぶ虫の姿を
ぼんやりみながら畑を想う
命のやりとりはあまりにリアルで
白菜からしばし逃げる
からの鍋から
時間が逃げてゆく
テレビだけが正確にときをうたい
私と虫は取り残される
えいと水を注ぐ
ざくざくと切りながら
今日のときもざくざく ざくざくと
切り刻む 明日になれよと
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