遺書にはならない足跡 2/セグメント
ていた。
私が付き合ったことのある人間の中に、自殺を全く考えたことがない、自殺を考える人間は頭がおかしいという自論を持つ者がいた。私は分厚い医学書のように難しい本を渡され、これで治して、と仮にも恋人に言われたことを約七年の時が過ぎた今でも忘れていない。悪意はなかったのかもしれない。だが、悪意のない発言や態度と、悪意のある発言や態度と、どちらが罪だろうか。
少し前に死にたくなった時は、上記した、やり取りがうまく行かなくなってしまった友人のことを思ってのことだ。彼はきっと、死にたいと事あるごとに言う私に疲れてしまったのだろうと思う。何度、私は彼に似たような相談をしただろう。何度、彼は私に似たよ
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