遺書にはならない足跡 2/セグメント
しくて仕方なく、問診中にも泣きそうになってしまった。帰り道も同様、悲しい気持ちが溢れ、涙が落ちた。
この日は、起きた時から少し気分が優れなかった。うまく言えないのだが、違和感があった。しかし、病院に行く予定の日なので、あまり気にしないようにして支度をし、家を出た。だが、どうにも悲しかった。何故、悲しいのかも分からなかった。ただ、私と一緒に暮らす約束をしていた父が、約束を叶えることなく他界してしまったことが幾度も思い返され、どうして私は今、ひとりで暮らしているのだろうと繰り返し考えた。
私の両親は離婚しており、当時、進学を控えた中学生だった私は、母に付いて行くことを選んだ。進学費用の為だ。最
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