紅葉/ぎへいじ
 
と共に深く濃くなっていく



あの日



広告の裏に書き残された平凡な詩

子はいくつになっても 親を越える事は出来ないと 知った


破り捨てた
黒く くすんだ自分のノートの燃えかすにさえ

親から教わった文字の葉が残っていたのを覚えている

忘れ去った記憶もまた
忘れたのではなく
溶け込んでいるだけで再び言葉になるのを 心の中でいつも準備してくれているのだと

今日、私は


あの日と同じように

老木の根元に腰をおろして静かに抱きしめ
抱きしめ合いながら 揺れる紅葉を見つめている





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