足の下から/木の若芽
「足の下から」
木の若芽
大地はピアノの鍵盤だ
弾くのは光の指
華麗に見事に流れるように鳴る
わたしたちはその鍵盤のキーひとつひとつ
だから光にあたって美しく鳴る
光をじっと感じていると
わたしは土でできていると思えてくる
まさに大地の子
緑や花の香りはもちろん
土の香りももっとかぎたい
そして水の香りも
石ころがつぶやく声にまで
心を澄ませてみたいね
忘れていたわけじゃないよ
あんまりかすかだからさ
でも陽のぬくもりで
石ころのつぶやく声の気配が感じられたのは 確か
彼らも木のそよぐ歌のように
ときには小鳥たちの歌にも似て
高らかに呼びかけている
季節は
空からでなく
足の下の大地からわいてくるような気がする
地面の下も 空に負けないくらいすてきだ
もっと深くには
水や鉱物や化石や宝物や石油や
小人の国や魔法の洞穴があるかもしれない
掘り返さないでも
目を閉じて想像すればわかる
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