逢瀬/霙小町
眠るように死に向かうあなたを
引き留めることはもはや叶わない
生まれた時と同じように 二人
無言に通じ合う世界に息する
別れを慈しむ静寂は
神さまの与えたひととき
モルヒネに優しく侵されていくあなたは
その一瞬を垣間見て
何を思うのでしょうか
悲しみのように優しくて
愛情のように苦しい
去る者の痛みは
最期の愛のしるし
始まりと同じように
白い一室に二人きり
あなたの冷えた肌を撫でながら
静かに死に向かう
去る者と残る者の
許された最期の逢瀬に
あなたはただ微笑んでる
戻る 編 削 Point(1)