逢瀬/霙小町
 

 眠るように死に向かうあなたを
 引き留めることはもはや叶わない
 生まれた時と同じように 二人
 無言に通じ合う世界に息する

 別れを慈しむ静寂は
 神さまの与えたひととき
 モルヒネに優しく侵されていくあなたは
 その一瞬を垣間見て
 何を思うのでしょうか

 悲しみのように優しくて
 愛情のように苦しい
 去る者の痛みは
 最期の愛のしるし

 始まりと同じように
 白い一室に二人きり
 あなたの冷えた肌を撫でながら
 静かに死に向かう

 去る者と残る者の
 許された最期の逢瀬に
 あなたはただ微笑んでる

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