彼の地/ブライアン
雨が降った後、
コンビニの自動ドアが開いて、
押し寄せる、空。
湿気が、国道1号線の、
キャッチセールスの波、
信号機の赤、
吐き出した溜息で、
留めていた物が、
排水溝に流れた。
雨、は止んで、
呼吸が乱れる。
特別な過去がないので、
言葉が書けないんだよ、と、
初恋の子を薄幸の美女に祀りたてる。
彼女は、1980年、朝鮮戦争のために、と語りだしたボールペン。
国道113号線は北と南に分裂する。
彼女はソビエト連邦の国籍を得るため、
先祖代々の畑を手放さなければならなかった。
それも、二束三文。
アメリカ合衆国は、廃頽した鉄のカーテンで、
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