何も言わなくたっていい/
三田九郎
語れば語るほど
あなたへの思いが
色あせ
別物になってゆく
何か言おうと戸惑うたび
ワインの酸味がきつくなる
ことばになること
ならないこと
しなくてもいいこと
あなたとの無言の時間が
戸惑うわたしに
ことばのいらない幸福を差し伸べ
静けさのうちに
どこまでも優しく
抱き寄せてくれる夜
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