祝福/紅月
 
檎の樹の枝は複雑に分化し
進化のいただきに眠るあかい果実は
おだやかな波間の霊安室に灯される
蝋燭の火のようにただひとつあかるい





抜け落ちたしろい尾羽根
凍結した路肩に散乱する枯葉
罅割れた獣骨を拾いあつめて
小夜の空へ投げる(湿った、)
罅割れたタイル(冬のアルタイル、)
亀裂から漏れる乾いた羽根が
かがんだ水面の静寂に点る
ささやくような産声が山々を濡らし
そのあたたかさへと差しのべられた恍惚の腕の
指先のひとつひとつが腕となって
指先のひとつひとつが腕となって
どこまでも分化してゆくそれはやがて
ほとりに立ち尽くす林檎の樹氷
(お前は燃
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