旅のはてに/
佐藤伊織
かなしみをおしえてくれたのは
10歳の頃
せつなさをおしえてくれたのは
あなたでした
旅の途中で
消えていくともだちも
笑って送り出して
くれたおかあさんも
わたしたちは
なみだだけで
生きていくことが
できるから
忘却のなかで
朧げに浮かび上がる
夢を
現在を
過去を
すべての
かなしみを
3歳のわたしが
大声を張り上げて
誰かと誰かのあいだを
駆け抜けていく
どこまでも
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